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執筆者の写真学生応援団

東京学生映画祭×学生応援団コラボインタビュー

更新日:2020年10月10日


【実行委員プロフィール】

木村翔武(慶應義塾大3年 代表 作品選定 実行委員3年目 写真下真ん中)

浅野ジーノ(早稲田大2年 広報部 作品選定 クラウドファンディング担当 写真上真ん中)

田伏夏基(明治大2年 広報部 作品選定 プレス フライヤー制作 写真下左から1人目)

田中創太(産業能率大1年 広報部 アテンド 監督らとの連絡 写真上左から2人目)

栁川碧斗(慶應義塾大2年 進行部 ゲスト交渉 作品選定 写真下右から1人目)


井上 まず早速ですか、運営業務とは主にどんなお仕事ですか?


木村 映画祭という団体を通さなければ世に出ないような作品を発掘して、多くの観客の皆さんに観ていただき、またゲスト審査員や映画業界の人とのつながりを作っていただき、続けていくことさえ難しい映画作りを続けていくきっかけになればいいと思っています。映画祭を通して監督たちの才能を磨いていく機会を作っていくのが理念です。進行部と広報部に分かれて業務を行っています。進行部は、当日運営や監督の入り時間の管理、客対応などを仕事とします。また東京学生映画祭は完全に学生のみでの運営のため、後ろ盾がなく、慢性的な資金不足です。ですから、協賛していただくことでお金を集めなければなりません。そこで広報部は、協賛企業や後援団体との交渉をしています。映画祭を進めるには必要不可欠な部署です。


井上 なぜこの東学祭に参加しようと思ったのですか?


木村 関西から上京してきて、人間関係はゼロからのスタートでした。中学生の頃から映画が好きで、何かしら映画に関わりたいという気持ちがありました。学生の映画への関わり方として、制作する側と、制作された映画を紹介する側の2種類ありますが、両方やりたかったので、大学の映画を作るサークルに入り、同時に東学祭で実行委員を始めました。

動機としてはただただ映画が好きだからですが、特に映画業界内での人脈づくりでは、映画祭の方が断然意味がありました。昨年まで在籍した先輩に、現在国際映画祭で働いている方もいます。そのような方から教われたのは良い経験になりました。


井上 数ある学生映画祭の中でも、どうして東京学生映画祭を選んだのですか?


木村 主に4つ(TOHOシネマズ学生映画祭、京都国際学生映画祭、日本学生映画祭、東京学生映画祭)の学生映画祭のうち、東京学生映画祭のみが後ろ盾となる組織がいません。作品選定・運営はじめすべての面で介入する大人がいないので、学生である実行委員のみで自由に物事を決めることができるという利点があります。作品選定では、しがらみに囚われず一番面白い、という自負を持っています。

浅野 歴史が長いのも大きな特徴です。30年以上続く映画祭も稀有ですが、それが学生有志のみにより継続されてきていることは、大きな財産だと思います。

栁川 インカレサークルのような形態で運営されていますから(仕事の質も量も「サークル」の域を超えていると思いますが)、メンバーが毎年大きく変わります。そのため、作品の選定基準も毎年変わっていると言えます。今年度は特に、シネフィル受けするようなタイプの作品が比較的多くなっているのではないでしょうか。選定者の好みやセンスが選定作品にかなり影響されますから、毎年良くも悪くも趣向が大きく変わるのが、他の映画祭と比較しても(良くも悪くも)特徴といえると思います。


井上 コロナの影響による今年ならではの苦労や変化はありましたか?


田伏 席数が半減しますが、映画館にお越しになれない方も配信で観ていただくことができます。学生監督の皆さんは、自分の作品を発表する機会が是非欲しいと思っています。その思いに応えるべく、何とか協賛を集めることが出来ました。

木村 田伏の話とも重なりますが、オンデマンド上映やライブ配信を予定しています。昨年までの課題として、東京以外の作品が入選しても、映画祭に来場することが出来ない地方在住の作品関係者の皆さんや映画ファンの方々がいらっしゃいました。しかし、今年のコロナを期に、配信プラットフォームからのご提案もあり、配信企画を大きく拡充することができました。その以外は、運営自体はマニュアル通りに進めることができたので、コロナで大きく影響を受けた印象はありません。

栁川 今年は、配信を活用する映画祭が多くなっています。多くは本編のみの配信のようですが、東学祭はトークも合わせて配信するのが特色です。このコロナ禍で、漠然と惰性のみでアフタートークを企画することは、イベントの運営上も困難ですし、安易なのではないでしょうか。ゲスト選定・交渉を担当した立場として、人と人とが会話する・対話する意義を明確に打ち出せていると思います。人と人の繋がりこそが、今改めて求められているのではないでしょうか。映画祭はそれを生み出す場として機能するべきだと思います。

DOKUSO映画館でのトークを含めた配信も是非ご覧ください。さらに、映画祭終了後には、U-NEXTでのサブスク配信も実施します。U-NEXTでの配信は、学生映画が大手の配信プラットフォームで長期間、いつでも何度でもご覧になれる画期的な試みだと思います。


井上 作品選定について聞かせてください。


木村 130本以上の応募があります。1次セレクションでは、グループ分けをして、1作品につき最低3人は鑑賞します。その後話し合いで絞られた作品約40本ほどを、2次セレクションに進めました。(公式サイトに一覧があります。)統一した基準は設けず、総合的に作品を俯瞰して、それぞれの作品の推薦する理由とあまり良くないと感じた理由を話し合います。トータルバランスでは欠けている要素があったとしても、ある要素(例えば、先進的なテーマ性を持っている、など)で尖った作品を選定することに繋がります。選定する委員の個人の感性も重視する姿勢のも通じているのではないでしょうか。 


浅野 2次ではある程度の作品のクオリティは維持されていますが、最後のプログラムを確定する段階での選定は、満場一致というよりは推せば通るといったところが、醍醐味でもあります。映画として普遍的に価値があるのか、あるいは委員のうち一人でも底知れないパッションを感じるのかといった、委員同士の価値観を擦り合わせるのも有意義でした。


井上 入って数か月の田中さんが感じるやりがいはなんですか?


田中 学生監督の皆さんと電話で話し作品のことを伺うなかで、同世代に才能ある方々がいることを知って、刺激を受けることが出来ています。



加藤 東学祭に入ったきっかけはなんですか?


田中 映画が純粋に好きで、コロナの影響で大学のサークルに入ることもできず、大学にも行けない状況が続いた中で、新しいコミュニティに入ろうと思ったのがきっかけです。


加藤 コロナで変わったことはなんですか?


浅野 延期で会場のキャンセル料がかかったり、協賛が中止になったりしたところもありました。昨年までに積み上げたものがなくなってしまったのが心苦しかったです。新しい協賛の依頼や配信の充実など、プラス面もあります。


田伏 高校生の時、みんなほど映画は観ていませんでしたが、大学生になり東学祭に入って、学生映画のレベルの高さに魅了されました。代替わりによりメンバーが減少したことは不安要素でした。また今年の開催自体、木村さんがいなければ危なかったですし、映画界自体がコロナの悪影響を受けていると思うので、協賛集めはしんどかったです。


加藤 3年も続ける原動力はなんですか?


木村 人が集まるまでに場所と基準だけを決めて辞めてもいいかなという程度に思っていた時期もありましたが、やはり自分の代で1989年から続く30年の歴史を止めてしまいたくないと思い、続けています。非経済的な活動が、これほど長く続いているのは、代々の先輩方の尽力のおかげです。

(今年度で東学祭3年目を務める代表の木村さん)


井上 皆様から、東学祭に向けて意気込みをお願いします!

浅野 関わってくださる多くの関係者の方々のためにも、コロナの感染防止を徹底し、そつなく運営に努めたいと思っています。

栁川 トークの時間もしっかり確保したタイムスケジュールになっています。トークは単なる映画本編のおまけではなく、それ自体が学生監督の皆さんの財産になり次回作に繋がるような、前向きなトークが展開されることを期待しています。批評家の佐々木敦さんをはじめ、話上手な方々にゲスト審査員をお願いしました。

田伏 映画祭に参加する機会は通常ない方も多いと思いますが、普段自分が見ることのない映画に出会って発見したりできるのが映画祭の魅力です。是非もっと多くの学生の皆さんにご来場いただきたいと思っています。

田中 30年続いている東学祭を、今年、来年と途絶えることなく続けていくため、努力したいと思っています。

木村 やはり映画館で映画を観ることは貴重な体験です。映画館はコロナの感染防止対策もしっかりと行われています。映画館という空間が今でも生きている、ということを体感していただきたいです。


井上 最後に、これから東学祭に関わりたい人へメッセージをお願いします。


木村 学生で映画に関わるには、主に制作するか広報するかの二択があります。その中で映画祭を選べば、基本的に裏方のため表に名前が出ることはありません。映画祭が認められることはあっても運営個人が認められることはほぼないでしょう。承認欲求に寄与することはありませんが、その分価値のある、やりがいのある仕事です。これからの映画界を支えていく、才能ある方々を発掘する、責任ある立場です。ぜひ、ご参加をお待ちしています。


(執筆:ゆうと)

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